「専門外だから意見書は書けません」…産業医としてこの発言はアリなの?

先日、ダメでもともと…と、下記の内容の「条件付き復職可」の診断書を大学病院のドクターに書いてもらい、会社に提出しました。

  • 病名
    • 不明熱・全身倦怠感
  • 付記
    • 2009年3月より上記で詳細な精査および加療をしているが原因は不明である。現状でも復職は可能であるが、うつ病の状態も考慮しながらの、全身倦怠感に応じた半日勤務からの開始や軽度の負担の労務内容といった段階的な復職が望まれる。


私の在籍する会社はオーナーのワンマン企業であり、「月に2回を超えるような欠勤が出るような状態は就労可能な状態とは認めがたい」とトップが言っている時点で半日勤務からの開始といった条件付きの復職をすんなり会社が認めるとは考えがたいので結果的に解雇という形になる可能性は高いのですが、私も産業医がどういう意見を出すのかが気になりましたし、会社としても産業医の意見を聞きもせずに解雇にするのはコンプライアンス上問題があるのではないか?ということで、ひとまず産業医の意見を求めよう…ということになりました。主治医からは、診断書を書いてもらったときに「細かい業務内容までは職場の状況も分からないので、そのあたりは産業医の先生に一度相談してみるように」と言われていたので、そのことも併せて伝えました。


しかし、翌日、総務部長に「その後産業医の先生の話はどうなりましたか?」と電話で確認したところ、「『専門外なので意見書は書けません』と言われた。書けないというものを無理やり書かせるわけにもいかないので、主治医の診断書だけで判断するしかないだろう」との、信じられないような回答が返ってきました。うちの会社の産業医は整形外科が専門なので、確かに内科領域と精神科領域が入りまじったような私のケースは専門外もいいところだということは分かります。とはいえ、『専門外なので意見書は書けません』とは、あまりにも無責任…であるような気がします。とはいえ、総務部長にこれ以上文句を言っていても仕方がないので、釈然としないまま電話を切りました。


その日、心療内科の受診日だったこともあり、心療内科のドクターに「復職の件で、産業医の先生が『専門外なので意見書は書けません』っておっしゃっているようなんですが、そんなのアリなんですか?」と尋ねてみたところ、「僕も大学病院の先生も原因が分からないこともあり効果的な治療手段が見つけられなくて正直言って困っているくらいだから、専門外の先生がどう意見していいのか分からないという気持ちは分からないでもないけれど、『主治医の意見を尊重する』という内容の意見書すら書けないというのなら、産業医を辞めるべきなんじゃないかと思うけどね」という回答が返ってきたので、産業医の言い分が腑に落ちないのは私だけではないということにちょっとだけ安心しました。


その後、家に帰ってから、改めて産業医の職務について調べてみました。
財団法人産業医学振興財団」のホームページに掲載されている「産業医の職務ー産業医活動のためのガイドライン」に、下記のような記述がありました。

職場復帰の支援

  • 職場復帰に関する当該労働者の意志及び主治医の意見の把握
  • 職場復帰時の当該労働者の状態、環境等に関する情報の収集と評価
  • 人事労務担当者、上司との連携等の職務
  • 職場復帰の可否の判断、就労条件、作業環境等に関する助言・指導
  • 職場復帰後の経過観察等の職務

ということは、当該労働者である私の意志を確認することなく、診断書に記述されている以上の主治医の意見の把握もすることなく、職場復帰の可否の判断についての助言・指導をしていないという時点で、やっぱり産業医としての職務を放棄しているのではないか?と思わずにいられません。あらかじめ、今回の休職と関連しそうな3人のドクターには「産業医から『主治医としての詳しい意見や診療情報を提供して欲しい』という要望があったときは、対応をお願いします」とお願いしており、全員から快諾していただいただけに、なおさら残念です。


正直なところ、会社を辞めること自体には8割方あきらめがついているものの、産業医産業医としての職務を放棄するような態度を取っているあたりが、このままでいいのか?と一番腑に落ちないでいます。